先物オプション,詳しく学ぶ

先物とオプションは同じ?全然違います!先物は価格変動、オプションはボラティリティを売買!

先物取引とオプション取引の違いについて問われた質問に対し、次の様な間違った回答を見つけました。「オプション取引は先物取引に最初から逆指値が付いた様なものです。」と・・・。

全然違います!確かに一見そう見えるかもしれません。オプションの買いは損失が限定されている為、それを逆指値でロスカットするラインと見立てれば上昇については利益無限大で同じですから。

ただそれだと最初に支払うオプションプレミアムがあるのでオプションを買った方が割高でメリットなんて無い様に見えますね。

そんな質問を見掛けたので、取引時間中ですが記事にまとめてみました。どうぞご参考にしてみてください。

両者の違い

先物取引は価格を売買するもので、オプション取引はvolatility(ボラティリティ=変動率)を売買するものです。

オプション取引の原資産を日経平均先物とした場合で、先物取引では買い、オプション取引ではプットの売りを行ったものとします。両者それぞれ日経平均株価が上昇すれば利益となるものですが、それぞれの利益の違いを見ていきましょう。

まず始めに先物取引の場合です。これは同時刻で比較してみましょう。先物取引の場合、670円の上昇が見られました。先物ミニの場合、約102,000円(2020年5月19日現在、手数料等は除く)で1枚保有が可能です。先物ミニは100倍で5円刻みなので利益は67,000円です。

オプションは6限月のプットオプション18,000円をベースに考えることにしました。この場合、証拠金に必要な金額は最低でも約500,000円(画像2枚目を参照)ですが実際にはもっと必要でしょう。(評価損分を予測しなければならないため)

145円から69円になっていますね。76円の差額です。単位は1000倍なので、オプション取引の場合は76,000円の利益。先物ミニと比べるとオプションの方が利益は高いですが証拠金が倍以上になってしまうので利益率に直すと割高に見えてしまいます。

銘柄必要証拠金利益率
先物ミニ約10,2000円~65.7%
プットオプション18,000/6限月約500,000円~15.2%

先物取引とオプション取引はこの様に全く違うものであることが分かります。オプションの証拠金の計算方法は以下の記事で詳しく解説してあるので是非ご覧ください。オプション取引はある程度の数字が与えられますが、それらを使って投資家自身が計算しなければならない仕組みになっています。

オプションの利益率が悪いのはなぜか?

これだけを見ると証拠金は高いし、利益率が低いオプション取引にメリットなんて全く無い様に見えてしまいます。しかしここだけで甲乙つけるのは早計です。オプション取引には独特の特典が与えられています。これを加味してから考えるべきでしょう。

損失リスクが少ない

先ほどのオプション取引は6月の第2週目の金曜日(メジャーSQ)時点で日経平均株価が18,000円を超えていれば利益になるポジションです。ですので仮にあの時、評価損になっても、そのまま放置を続ければ利益に変わった可能性があります。

そしてこの損失リスクを下げれば下げるほど、利益率も下落していきます。こちらの画像では、プットオプション18000円が78円の値を付けているのに対し、17000円は41円、16000円に至っては22円の値が付いています。

オプションを売り建てた場合はこの取引値が最大利益となるので利益率もどんどん下がってしまいます。しかしプットオプションの権利行使価格を下げれば下げる程、権利行使の可能性は低くなり損失が回避されます。

正にオプション取引は〇〇リスク・〇〇リターンの象徴とも言える取引方法でしょう。

安易な取引に注意

筆者は大学を卒業後、金融機関に就職し、金融ディーラーとして働いてきました。金融ディーラーの中では先物オプションは最高難易度に指定されごく一部のトレーダーにしか扱いそのものを許してくれません。

SBI証券でも先物オプション口座の開設時に一定の審査を設けるなど厳重です。これまでの話を見ると、「権利行使価格を下げれば下げるほどリスクが少なくなるからローリスクではないか?」と、思われがちです。

しかし先物オプション取引は超ハイリスク・超ハイリターンです。正直、ここを理解して自分自身の思考で、自分の口から≪なぜハイリスクか?≫の説明が出来ない時点で先物オプション取引を行うべきではありません。

反対に、先物オプション取引のリスク面について完璧に説明できるようになっていれば先物オプション取引を扱っても問題無いでしょう。

証拠金の急変動がある

先ほどのプットオプション18000円の証拠金をもう1度見てみましょう。

黄色い四角で囲った当社SPAN証拠金34万円がこのプットオプションを建てるに必要な証拠金額です。しかし説明には約50万円が必要であると言いましたし、それ以上必要になるとも書いてあります。なぜか?

この当社SPAN証拠金は現時点では34万円でも将来、80万になる可能性もあれば100万になる可能性もあります。また5万円ぐらいまで下落する可能性もあります。更に証拠金にはSPANのみならず、Net Option Valueの未来予測も兼ねる必要があり、これらの合計で計算しなければなりません。

そしてこの証拠金を完全に予測することは不可能です。

最悪のケースを想定する

SPAN証拠金の最大値を予測することは不可能ですが、過去最も悪い結果を当てはめて計算することである一定のリスクは回避出来ます。ただそうなってしまうと利益率はとことん落ちてしまいます。

仮に200万円を最悪のケースと想定する(2020年3月に一時これぐらいまで膨らんでいる)と、利益率は3%前後まで落ち込んでしまい、それでいて損失時には全資産を消却し掛けない大損失を招く場合もあります。

一見、ローリスクローリターンに見えても実質はハイリスク・ローリターンという適正な投資は言えないものになってしまいます。

この証拠金回避や証拠金オーバー時のペナルティなどについては以下の記事で解説してあります。ここは非常に大事な部分ですので、オプション取引をする予定の無い方も、投資全般知識として必要です。是非ご一読ください。

それでもオススメ?

少し怖い話もありましたが、ビジネスマンや忙しい主婦の方には先物オプション取引は非常にオススメです。潤沢な資金が必要にはなりますが、数ヶ月で日経平均株価が1万円以上下落するような事態は想定しにくいです。

たったの200万円程度で年間5万円前後は固く安定した収益を獲得できる可能性が高く、それもボタン操作だけで完了します。倍々ゲームで400万円あれば10万円、1000万円あれば25万円の年間収益はさほど難しいラインではないのです。(あくまでも目安で絶対ではありません。)

先物オプション取引はかなり難しいです。証券外務員一種の試験でも出題されますが、多くの外務員がこのオプション問題でつまづいてしまいます。また先物オプション取引を恒常的に運用している投資家は全市場において最も少ないと言えます。

簡単に儲かれば投資家の皆さんは運用しますから、それを行わないという背景には多大なリスクがあることをお忘れなく覚えておいて頂ければと思います。

過信しないこと

仮に、上記のポジションを組んだ場合、実際に使用するSPAN証拠金は200万円も無い場合が多いです。ただこれは最悪のケースを想定した場合で、最悪のケースやそれを超えるケースは当然ながら、なかなか発生しません。

ですから「200万円用意したけど、100万円しか使ってないみたいだから倍のポジションを持ってみようかな?」と気が緩むことで大きな損失に繋がりやすいのです。

ここの過信が資産を消却するまで膨らむ可能性があることをご留意ください。

資産焼却の例を見てみよう

これは6限月プットオプション20,000円の日足で半年間(2019年12月~2020年5月)を表示しています。これ、チャートが山になっているだけでよく分からないと思います。

これは33円(33,000円)の利益を取りに行って、377万7千円の損失を被った人がいることを表しています。高値3810円まで暴騰した例で、かなり珍しいケースですが、こういったリスクがあります。

33,000円の利益を取りに行く時点では1ポジション50万円を想定して投資金1,000万円を用意し、満額使用していた場合、最大で7,550万円の損失を被った可能性があるのです。通常はここまで行く前にロスカットされるか損切りをしますが、放置しておくとこんな損失が出てしまう場合もあるのです。

投資で被った損失による借金は自己破産で清算することも出来ないので、約7,500万円の借金を地道な労働で返済する可能性が出てきてしまいます。

通常、ほとんどの投資家はこの様な事態は避けています。ただオプション取引をよく分かっていない状態で、何となく取引してしまうと、こういった事態に巻き込まれてしまう可能性があるのです。

まだ先物オプション取引について詳しく知りたい!という方は上記の記事で詳しく解説してあるので参考にしてみてください。

最後怖い話をしてしまいましたが、筆者自身が先物オプション取引で毎月生計を立てています。しっかりと理解すればとても面白く、ビジネスマンには最適の運用手段だと思っています。

今回の記事が少しでもお役に立てれば幸いです。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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