ストーリー

【第14章】買いの合成ポジションで稼ぐ

前回の章のときトランプ大統領選挙で大きく下落した後に大きく上昇した日経平均株価の様子を確認したよね

※当時、ヒラリー・クリントンが大統領になるだろうと言われていました。そして大方の予想に反し、ドナルド・トランプが当選したことで大暴落。しかしドナルド・トランプの経営力やパフォーマンスに期待したNYダウは上昇を続け日経平均株価もそれに引っ張られる形で短期間のうちに約3,000円も上昇しました。

これね

そう。今となってはドナルド・トランプも大統領としてサマになってきたけど、当時はヒラリー・クリントンが大統領ムード一色でドナルド・トランプがヒールの様に報道されていたんだ。

でもドナルド・トランプが大統領になったっていうことは投票がヒラリー・クリントンを上回ったんだもんね

そう、だから大統領選挙前からトランプが大統領になる可能性は既にあったんだ。ヒール扱いされていたトランプが大統領になる可能性があった。ということはトランプが大統領になった時に株価が下落する可能性をつかむことはできたはずだ。

どっちが大統領になってもおかしくないってことよね

そう。実は米国大統領選挙っていうのは2016年のドナルド・トランプ対ヒラリー・クリントン戦以外にも荒れる傾向にあるんだ。それじゃあ2000年から2016年までに5回行われた米国大統領選挙時の日経平均株価の動向を見てみよう

以下は米国大統領選挙後から直近1限月先のSQ日までの日経平均株価の推移です。5回行われた米国大統領選挙では3度上昇し、2度下落しています。そしてその変動値の最大を平均すると1,071円となります。

①2000年 ジョージ・W・ブッシュ対アル・ゴア

②2004年 ジョージ・W・ブッシュ対ジョン・ケリー

③2008年 バラク・オバマ対ジョン・マケイン

④2012年 バラク・オバマ対ミット・ロムニー

⑤2016年 ドナルド・トランプ対ヒラリー・クリントン

日経2252000年2004年2008年2012年2016年
変動値1,184.30円493.81円1,296.59円583.17円1,799.78円
方向下落↓上昇↥下落↓上昇↥上昇↑

米国選挙から直近1カ月先のSQ日の日経平均株価推移(始値から起算した最大値で計算)

凄く動いているね!!上昇するときは上昇してるし、下落するときは下落してる。

うん。これを先物オプション取引に利用するんだ。上昇するか下落するか分からないけど、今後短期間で大きく変動すると思えばストラドルの買いがオススメだよ!

前回は売りで稼ぐ方法だったけど、今回は買いで稼ぐ方法を教えてくれるんだね

第13章を見てバーティカル・ブル・コール・スプレッドを覚えよう!

ストラドルの買い

これまでは売りで稼ぐ話が多かったけど、資金に余裕のある人は買い姿勢で稼ぐことをオススメするよ。

実際に私が在籍していた金融機関の運用部ではオプションの売りは一切行わず、買いのみでした。買いで得られる利益は売りで得られる利益の何倍、何十倍ときにはそれ以上にもなることから利益を狙いにいくのであれば買い姿勢の方が効率的であるといえます。

出典 : 株式会社SBI証券「公式ホームページ」先物・オプションページ

ストラドルの買いは同じ限月・同じ権利行使価格のコールオプションとプットオプションを買うことで日経平均株価が上昇しても下落しても大きく動けば利益になります。利益額が大きい反面、損失額(最初に支払うお金)も高額になることから大きく変動しないと損失になってしまいます。

なるほど。コールとプットを買うからどっちに動いても儲かるってわけだね

でも聞き捨てならないセリフが・・。資金に余裕がある人ってどれぐらい持ってないといけないの?

仮にATMでコールとプットを購入するとなるとプレミアムはとても高額になるんだ。実際の例を見てみよう。

参考:現在の日経平均株価:20,014.77円(2018/12/28)

①コールオプションのプレミアム 365,000円

②プットオプションのプレミアム 445,000円

①+② = 810.000円

た・・・高い。ATMで組まずにもう少しOTMに組めばいいんじゃないの?

今回買うのはコールとプットだからね、片方をOTMにするともう片方はITMになってしまう。そうなると結局ATMで組むのとあまり金額に差は無いんだ。それに上の表で見た大統領選挙では現時点からSQ日までの価格を出している。ずらしてしまうと検証結果が意味を持たなくなってしまうよ。

勉強になるからOTMにした例を見てみよう。

①コールオプションのプレミアム 190,000円(OTM)

②プットオプションのプレミアム 730,000円(ITM)

①+② = 920.000円

げぇ・・。高くなった・・・。

今度は逆にして見てみよう。

①コールオプションのプレミアム 715,000円(ITM)

②プットオプションのプレミアム 270,000円(OTM)

①+② = 985.000円

げげげ・・。こっちの方が割高じゃん!

うん、まあ状況によるけどストラドルの買いを仕掛けるのであればよほど計算し尽くして出した自信のある根拠でもない限りはATM同士で組み合わせることをオススメするよ

うーん。でも81万円払って1,000円変動しても貰える利益は19万円だよね?それだとあまりおいしくないかなあ。

本当においしくないと思うかな?それじゃあ大統領選挙時の結果をもう一度見てみよう

日経2252000年2004年2008年2012年2016年
変動値1,184.30円493.81円1,296.59円583.17円1,799.78円
損益+374,000-317,000+486,000-227,000+989,000

これはストラドルの買いに掛かった費用が81万円だった場合を仮定したものだから実際の損益結果とは異なるけど、これに近いものにはなるんじゃないかな?これでみると、5回の 結果は130万円以上の利益になるんだよ

それに実は1ヵ月に1,000円以上変動する確率って低いように思われているけど、実は2割以上の確率があるんだ。

2000年1月から2018年12月までの間、SQ間で1ヵ月1,000円以上変動した確率は21.6%でした。また1,500円以上変動した確率は8.81%あったことから大きく変動する可能性は高くはないものの、低くはないと言えます。

結構確率高いんだね!1,000円以上株価が上昇した下落したっていうのニュースでたまに聞くけど、数%くらいのことだと思っていたよ。

1日で1,000円以上変動するのは稀なことだよ。でも数百円の変動はよくあることで、1ヵ月の間に反発反落を繰り返して合計1,000円の変動というのは決して珍しいことじゃないんだ。

だからそのどちらに動くかは分からないけど、大きく変動するだろうというタイミングを狙ってストラドルの買いを仕掛けることで利益を狙うんだ。その大きく変動するだろうタイミングの1つが米国大統領選挙っていうわけさ

なるほど。でもやっぱり81万円っていうのはちょっと多いなあ。それに必ず儲かるわけじゃないし、もうちょっとお手軽な方法は無いかな?

もちろんあるよ!ストラドルの買いは同じ権利行使価格のコールオプションとプットオプションを買うから片方をOTMにしても片方がITMになってしまう。だから高額になるんだけど、両方ともOTM状態で買えばいいんだ。それがストラングルの買いと呼ばれる合成オプション戦略だよ!

ストラングルの買い

同じ権利行使価格のコールとプットを買うのがストラドルの買い
異なる権利行使価格のコールとプットを買うのがストラングルの買い

さっき出した画像をもう1度使うよ

①コールオプションのプレミアム 190,000円(OTM)

②プットオプションのプレミアム 270,000円(OTM)

①+② = 460.000円

出典 : 株式会社SBI証券「公式ホームページ」先物・オプションページ

底が大きくなったね!

うん、最初に支払う金額が小さくなる代わりに大きく変動して得られる利益もストラドルの買いに比べると小さくなってしまうから注意が必要だよ

うん?ちょっと待ってストラングルの買いの方がお得じゃないの?仮に1,000円変動した際に得られる利益は100万円。ストラングルの買いだと46万円払うから54万円の利益。ストラドルの買いだと81万円払っているから19万円の利益。ストラングルの買いの方がお得じゃない!!

▼れなの主張

発生利益 最初に支払う金額 差額の損益
ストラングルの買い 1,000,000 -460,000 540,000
ストラドルの買い 1,000,000 -810,000 190,000

いや、それは違うよ。ストラングルの場合は権利行使価格が離れているからこうなるよ。

▼正解

発生利益 最初に支払う金額 差額の損益
ストラングルの買い 500,000 -460,000 40,000
ストラドルの買い 1,000,000 -810,000 190,000

今回のストラングルでは権利行使価格20,500円のコールと権利行使価格19,500円のプットを買っています。(異なる権利行使価格)一方で、ストラドルでは両方とも権利行使価格が20,000円と同一です。利益の発生ポイントが

ストラングルの場合
20,500円以上上昇すれば利益または19,500円以上下落すれば利益

ストラドルの場合
20,000円から離れれば離れた数だけ利益

20,000円を起点に1,000円上昇してもストラングルの場合500円(50万円)が利益になるので、結果、ストラドルの買いを仕掛けていた方が利益の金額は大きいことになる。

それじゃあストラングルは何の為にあるの?どうせ買うんだったらストラドルの買いの方がいいじゃない。まあお金はないけどさ・・・。

ストラドルの買いではなくストラングルの買いを選ぶ場合は、金銭的な部分に加えて自信がない時かな!大きく変動する気はあるんだけど、自信がない場合にストラングルの買いを仕掛けるといいよ

でも次回の米国大統領選挙では仕掛けてみたいかも!次はいつあるのかな?

次回のアメリカ大統領選挙は2020年11月3日に予定されているよ!12限月のSQ時にどれだけの変動があるかとても楽しみだね!

【第15章】カバード・テクニック

【第13章】合成オプション

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