ギリシャ指標を使ってオプショントレードのパフォーマンスを上げよう

ギリシャ指標
先物オプションの取引画面上にはギリシャ文字で書かれたいくつかの指標があります。このギリシャ指標を使うことでオプション価格の変動率が分かります。これらギリシャ指標を使わなくても取引は可能ですが、活用することで自身のパフォーマンスを向上することが可能です。

デルタ
最も重要なギリシャ指標です。デルタはオプション取引のみならず他の取引でも使用することがあります。デルタはオプションのプレミアムと原資産価格の変動を数値化したものです。数値はコールオプションは0~1、プットオプションは-1~0で表示されます。コールオプションの場合、ATMを0.5として1に近づくほどITMになり、OTMほど0に近づきます。一方でプットオプションの場合は-1~0で表示されます。
このデルタの数値を確認しながら取引に活用することが出来ます。コールオプションは正の数を持っており、プットオプションは負の数を持っています。コールオプションとプットオプションを同時に持つ際にこれらの数字を足して合わせた数字を0に近づけることでポジションリスクを真ん中に置くことが出来ます。
更に例えば「今後上昇するかも知れないけど、下がる気もする。しかしあまり変動はしないだろう。」というような上昇する可能性を感じつつもオプションを売る場合はコールのデルタを少し増加させて売ることでリスク分配が可能になる。
OTMのデルタは小さく原資産価格が変動してもプレミアムの価値は変わらないことが多い。これを活用してOTM状態にあるオプションをショートする戦略に活用したりITMからATM状態にあるオプションを買うことで原資産価格の変動に応じたプレミアムの変動に乗れる場合もあります。
セータ
デルタ同様にオプションのリスク管理に重要な指標です。オプション取引ではデルタ同様によく利用されます。セータは、各オプションが持っているSQ日(満期日)までの残存日数のタイム・ディケイによってどれだけオプション価格(プレミアム)が減少するかを表したギリシャ指標です。
ATM状態にあるオプションの場合、残存日数が少なることでタイム・ディケイの進行が大きくなりセータの数値も上昇します。ITM及びOTM状態にあるオプションは、満期直前になりその可能性(損益確定の可能性)が強まることで減少していきます。
尚、セータは常に-の値で表示されます。
ガンマ
オプションのリスク管理に重要な指標ですが、オプション取引において投資家自身がガンマを使う機会は少なく、多くの場合は証券ツールに組み込まれています。ですのでガンマがもたらす効果を知っていれば問題はありません。
ガンマは原資産価格が変動したときにデルタがどれだけ変動するのかを表した指標です。ガンマの数値はコールオプション、プットオプション問わず+の値を持っておりATMが最大値でITMとOTMに近づけば近づくほど数値が0に近くなります。
ベガ
これも投資家が直接ベガを活用する機会は少なく、分析ツールに既に組み込まれている場合が多いです。ガンマ同様にベガがもたらす効果を知っていれば問題はありません。
ベガは原資産が持っているIVが変動したときにオプション・プレミアムがどれだけ変動するか(プレミアムの感応度)を表す指標です。ガンマと似た動きをするベガはATMが最大値でITMとOTMに近づけば近づくほど数値が0に近くなります。
→ IV(インプライド・ボラティリティ)について詳しくは先物オプション取引の第12章をご確認ください。
早見表
ギリシャ指標 | 意味 | 正負 |
デルタ | オプション価格の変動率 | コールは+、プットは- |
ガンマ | デルタの変動率 | 両方とも+ |
ベガ | オプション価格の感応度 | 両方とも+ |
セータ | 時間経過で失われるオプション価格 | 両方とも- |
これらギリシャ指標を完全に理解しても利益には直接影響がないもののリスク管理面ではとても役に立ちます。デルタで紹介したリスク管理方法などを活用することでオプショントレードのパフォーマンスは間接的に向上し、自身のトレードに良い結果に結びつくと思われます。まだギリシャ指標を活用していない方は意識して使ってみてください!