RSIはオシレーター最強のテクニカル?その実力を徹底解説

相場は「割高なら売り、割安なら買い」を基本に動いています。恐慌などのパニック相場を除くと、一定幅の上値と下値を時間間隔を変えて往復しているに過ぎません。
よく「トレンド相場」「レンジ相場」と区別して取り扱われますが、これは短いタイムスパンの話で、長いタイムスパンでみれば振幅を変えてレンジ相場が続いているのです。
そう考えると「レンジ相場」に強いと言われているRSIは、もっと使えるのではないでしょうか。
RSIとは
RSIは数値によって市場の値頃感を表すテクニカルで、現在の価格が相対的に安いのか、又は高いのか、それとも適正水準にあるのかを数字と折れ線グラフの形状でトレーダーに情報として提供するものです。
オシレーターとは
RSIはオシレーター系テクニカルの最も基本的なものとして、文献や情報サイトで紹介されることが多いです。
オシレーターとは振り子のことで、一定の振れ幅の中を往復する動きを意味しています。RSIの場合だと0と100の間の数字を行ったり来たりしていて、0を下回ったり100を超えたりすることはありません。
価格が一定の範囲を超えて暴騰しても、暴落してもRSIの数字は0を下回ったり100を超えたりすることはありませんが、他のオシレーター系テクニカルでは価格の変化に追随して数字が増減するものもあります。RSIはこうした点で他のオシレーター系テクニカルと違う特徴を有していると言えるでしょう。
RSIの数字の意味
RSIは0から100までの数値で相場の値頃感を示しますが、この数字の意味は次のように定めた日数や時間スケールに対する値上がり幅の平均が、全体の平均価格変動幅(値上がり幅の平均+値下がり幅の平均)に占める比率をパーセンテージで示したもので、算式は次のようになります。
・RSI(%)=値上がり幅の平均÷(値上がり幅の平均+値下がり幅の平均)×100
RSIを計算する場合に予め日数や時間スケールを定める必要があり、よく使われるのが14という数字です。この場合はRSIが70を超えた時は「買われ過ぎ」、RSIが30を下回る時は「売られ過ぎ」と判断することが多いです。
RSIはそれほど難しい概念が用いられている訳ではなく、至ってシンプルなテクニカルですが、トレードで活躍する機会が多いです。
一般に紹介されている使い方
一般にRSIは「買われ過ぎ」、「売られ過ぎ」を判断するテクニカルとして値幅が狭いレンジ相場のスキャルピングトレードで、反発を狙った逆張りで使うことが推奨されているようです。
そうした使い方でも勿論良いのですが、移動平均線やボリンジャーバンドなどトレンド系のテクニカルと併用すると、さらにその実力を発揮することができます。
例えば、上昇トレンドを移動平均線やボリンジャーバンドなどトレンド系のテクニカルで確認したら、押し目の目安をRSIの数字で判断したり、下降トレンドを確認したら、戻りの目安をRSIの数字で判断したりすれば勝ちやすいとされるトレンド相場においてより多い値幅を稼ぐことができるでしょう。
レンジ相場の逆張り戦略だけでなく、トレンド系のテクニカルとの併用でトレンド相場の順張り戦略にも使えることを紹介している書物やメディアはあまり見られませんが、トレンド相場といっても傾きを持ったレンジ相場と考えれば、RSIは優れたパフォーマンスを示すテクニカルなのです。
RSIをオシレーターとして使いこなす(その1)
トレンド系のテクニカルとの併用でRSIが他のオシレーター系テクニカル以上に強力な役割を果たすことが可能となります。そうした使い方をいくつかご紹介します。
RSIで価格レンジの移動を知る
RSIが40から60の間の数字であるときは、設定する日数や時間スケールによらずに40にあたる価格がサポート価格、60にあたる価格がレジスタンス価格となり、その間をオシレーターとしてランダムに往復することが多いです。相場としてはレンジ状態で動意が薄い場合によく見られます。
こうしたRSIが40から60の間の数字をオシレートしている状況は永遠に続くものではなく、トレードする人が新たに参入することが多い時間帯や、株価変動や重要な経済指標の公表に対する反応を材料に、40にあたる価格のサポートを下抜け、又は60にあたる価格のレジスタンスを上抜けする時がやってきます。
サポートとして機能していた価格を下抜け、レジスタンスとして機能していた価格を上抜けする時こそ、トレードチャンスとしての狙い目です。サポートとして機能していた価格を下抜けした後は、新たなサポートを探して下値更新、レジスタンスとして機能していた価格を上抜けした後は、新たなレジスタンスを探して上値更新の動きが続く場合が多いからです。
ダイバージェンスで反転ポイントを知る

RSIでよく使われる14を期間に設定したとして、RSIが70を超えた時は「買われ過ぎ」、RSIが30を下回る時は「売られ過ぎ」と判断することが多いのですが、RSIが下落しているのに価格の上昇が続く状況や、RSIが上昇しているのに価格の下落が続く状況が見られることがあります。
このようにRSIの方向性と価格の動く方向が逆行してる時、それはダイバージェンスが発生しているということです。一般にダイバージェンスとはRSIのようなオシレーター系のテクニカルの方向性と実際の価格変動の方向性が逆行している現象を指す意味で使われます。
トレンドフォローでトレード中にポジションを保有している状況からこれらのダイバージェンスのサインを発見することで、エントリーや手仕舞いのタイミングを適切に判断することを通じて確実に利益確定することができると共に、トレード転換に巻き込まれて不用意に含み損を抱える危険を減らすことができます。
ヒドゥンダイバージェンスとは

ダイバージェンスが相場の反転ポイントを知らせてくれるサインとして使える以外に、現在の価格変動のトレンドが今後も続くかどうかの確認に使えるのが、ヒドゥンダイバージェンスです。ヒドゥンダイバージェンスのヒドゥンとは英語のhiddenのことで「隠された」という意味ですので「隠されたダイバージェンス」ということになります。
ヒドゥンダイバージェンスは価格変動のトレンドが出ているチャートのオシレータの下値の並びや上値の並びで確認することができます。価格変動の上昇トレンドが出ているチャートのオシレータの下値を確認し、オシレータの下値の下降が継続しているのであれば価格上昇トレンドが続いていると判断できますし、オシレータの下値の下降が中断したときは価格変動の上昇トレンドの終わりが近いと判断できます。
同様に価格変動の下落トレンドが出ているチャートのオシレータの上値を確認し、上昇が継続しているのであれば下落トレンドが続いていると判断できますし、オシレータの上値上昇が中断したときは価格変動の下落トレンドの終わりが近いと判断します。
ダイバージェンスやヒドゥンダイバージェンスは価格変動の先行指標としてのオシレータの特徴に注目したもので、トレーダーなら誰でも知りたい将来の価格変動の方向のヒントを提供してくれます。RSI以外にもMACDやストキャスティクスなどオシレータの多くはこうした特徴を有しています。
RSIをオシレーターとして使いこなす(その2)
RSIの有する価格変動の先行指標としての特徴を活かし、その高値や底値の並びを確認したり、高値同士や底値同士をラインで結ぶことで、ユニークなトレードが可能となります。
RSIにトレンドラインを引く

価格チャートに表示されるローソク足の上ヒゲの上端や下ヒゲの下端、またはローソク本体の上端や下端同士を結んでトレンドラインを作成することはよく行われます。こうしたライントレードの技法をRSIにも応用することができます。
具体的にはRSIの谷となる下値同士、山となる上値同士を結んでトレンドラインを作成し、その傾きの角度や方向などを確認することで、上昇トレンドが続いているのか、下降トレンドが続いているのか、それともトレンドの終わりは近いのか、三角持ち合いで膠着しているのかなどの判断をすることができます。
価格変動の先行指標としてのオシレータのトレンドラインの状況を確認することで、価格チャートに表示されるローソク足に作成したトレンドラインの今後の動向の予測に役立てることができます。
RSIは長期足であるほど実力を発揮する
ローソク足と移動平均線を基本とする価格チャートについて、一般に4時間足以上の長期足であるほどその値動きの信憑性は高いと言われています。このことはRSIについても同様のことが言えます。
デイトレードでよく使われるのは15分足より短い時間足が多い傾向がありますが、こうした時間足を使ったチャートは市場の価格の動く方向の判断を誤りやすく、価格変動よりも敏感な変動をする傾向があるRSIなどのオシレーターに関しても同様なことが言えます。
15分足より短い時間足でトレンド相場と判断してトレードを始めたが、相場の反転で思わぬ含み損を抱えてしまうといったことが多いのは、市場の価格の動く方向の判断を誤ってしまったことが原因で、判断に用いたローソク足と移動平均線、そしてRSIなどのオシレーターの実力が十分発揮できていない環境のトレードとなっているためかもしれません。
RSIは長期足であるほど実力を発揮するということは、具体的にはRSIが提供するダイバージェンスでトレンドの反転ポイントを知る、そしてヒドゥンダイバージェンスでトレンドの継続を確認するといった作業の精度が高く、市場の価格の動く方向の判断を誤る確率を下げて、結果としてトレード成績を向上させることが期待できるのです。
RSIと他のテクニカルの効果的な併用法
RSIはそれ単体でも強力なテクニカルですが、他の相性の良いテクニカルと併用することで、欠点をカバーしたり、よりプライスアクションに忠実な、精度の高いトレードを行うことができます。
RSIの欠点をトレンド系テクニカルでカバー
RSIの欠点として、反応が鋭敏であることがあげられます。特に期間設定の数字を極端に小さく設定してしまうと頻繁に向きを変えるジグザグ線の形でグラフが描画されてしまうので使い勝手が悪くなります。よって15分足以下の短期足でトレードする場合、期間設定は14を標準にこれより大きくとるか、小さくても8ぐらいで抑えた方がいいでしょう。
値動きの傾向の確認においては移動平均線やボリンジャーバンドなどのトレンド系テクニカルの方が視覚的にわかりやすいので、そうした面でRSIの欠点をトレンド系テクニカルでカバーするのがオススメです。反面、トレンド系テクニカルは突発的な値動き、特に相場の反転に対する反応はどうしても鈍くなりがちになりますので、こうした点はRSIのような早い反応を示すオシレーター系テクニカルでチェックする必要があります。
ローソク足とリンクしてプライスアクショントレードに活かす

RSIとトレンド系テクニカルを組み合わせることで、相互を補完する形のチャート分析が可能となります。これに加えてプライスアクショントレードの強化を図るため、基本となる長期ローソク足の形状や並びで相場環境を分析するとともに、短期のローソク足と同期するように期間を調整させたRSIを一つのチャートに同時に表示させることで、より精度の高いトレードの実現が可能となります。
まとめ
RSIはプライスアクショントレードと相性の良い特徴があり、パラメータの設定を工夫することで長期および短期のローソク足との併用でその実力を発揮することができます。
それ以外では相場の急変ポイントとなる傾向をダイバージェンスで事前に知らせてくれたり、移動平均線より先に価格の上昇や下落の傾向を教えてくれるなど使い方次第でトレードの質を高めることに役立ちます。
RSIの使い方をいろいろと工夫して御自身のトレードに役立ててみてはいかがでしょうか。