ローソク足は最強のテクニカル?その実力を引き出す5つのポイント解説!

ローソク足はチャートを開けばデフォルトで表示される、トレーダーなら必ず目にするテクニカルと言えます。ローソク足は一見すると単純な形ですが、その形状や並びにはトレードに有用な情報が隠されています。
ローソク足の有効な使い方について解説します。
ローソク足の概要と由来
FX取引のみならず株式投資や商品取引など投資取引においてローソク足は切っても切れない大事なテクニカル分析です。本記事ではローソク足についてその概要とその由来を簡単にご紹介します。
ローソク足とは

ローソク足は時系列的な値動きを一定時間間隔に区切り、その時間内における「始値」「終値」「最高値」「最安値」の4つの価格を表すテクニカルです。
「始値」と「終値」がローソクの本体部分を構成し、「始値」と「終値」を比べて「値下がり」の場合と「値上がり」の場合で着色を変えて表示させるのが一般的です。
「始値」に対して「終値」が値上がりの場合には「陽線」、「始値」に対して「終値」が値下がりの場合には「陰線」といいます。色の違いで価格の動く方向を把握することができます。
ローソク足のヒゲとは
本体部分から、ローソクの芯のような線が出ている場合がありますが、この線のことを「ヒゲ」といい、ローソク本体の上端から上方向に伸びているのは「上ヒゲ」、ローソク本体の下端から下方向に伸びているのは「下ヒゲ」と区別します。
「上ヒゲ」が発生する場合は、価格を下げようとする力が働いている時になります。これに対して「下ヒゲ」が発生する場合は、価格を上げようとする力が働いている時となります。力が強くなるほどヒゲの長さは長くなり、極端に長いヒゲが出る時は、価格の動く方向が逆転する前兆となります。
ローソク足を最初に考案した人は
今や全世界のトレーダーがチャートで見ているローソク足ですが、ローソク足を最初に考案した人は日本人で、江戸時代まで遡ります。「天下の台所」と呼ばれた大阪の米取引の場で使われていたようです。
トレードでは移動平均線やボリンジャーバンドなどが人気のテクニカルですが、これらの多くは米国人が考案したものです。投資に関して米国やヨーロッパが日本よりはるかに進んでいると言われていますが、移動平均線を使った法則はグランビルが1960年代に、ボリンジャーバンドはボリンジャーが1980年代に考案したのですが、ローソク足はそれ以前に、それも日本人によって考案されて使われていたというのは興味深い点です。
ローソク足の5つのポイント
ローソク足は単独、複数表示させることでトレードの際に知りたい5つのポイントを教えてくれます
- ポイント1:相場の転換ポイント
- ポイント2:相場環境
- ポイント3:マルチタイムフレーム分析
- ポイント4:サポート、レジスタンス
- ポイント5:エントリーポイント、イグジットポイント
いずれもローソク足の形状や並び、関係性から読み取ることができます。
ローソク足の形で分かること
ローソク足の形状は上下のヒゲ、ローソク本体それぞれの長さで決まりますが、この形状から今後の値動きの方向を予測したり、エントリーポイントを絞ったりすることができます。
十字線
十字線は持ち合い相場で現れやすい形で、売り圧力と買い圧力が均衡し、ローソク本体が押しつぶされたように水平線となっている状態です。
売り圧力と買い圧力のいずれも大きい場合に、ある時刻や価格に至った時点で大きく一方向に動き出すので、その動きだしを狙ってエントリーすれば大きな利益が得られることがあります。
売り圧力の大きさを示す上ヒゲが長く、買い圧力の大きさを示す下ヒゲが長い場合には、注目したいローソク足の形状と言えます。
トンカチ
トンカチは十字線から下ヒゲを除去した逆T形状のローソク足です。長い上ヒゲが特徴となっていて、強い売り圧力が加わってローソク本体が押しつぶされたように水平線となっている状態です。
トンカチがチャートの天井圏で現れるようになってくると、「買い目線を売り目線にしたほうがいい」ということをローソク足が教えてくれているということです。買いポジションで含み益の場合は勿論、含み益が出ていない状況でも手仕舞いしてノーポジションとしたい局面となります。
カラカサ
カラカサは十字線から上ヒゲを除去したT形状のローソク足です。長い下ヒゲが特徴となっていて、強い買い圧力が加わってローソク本体が押しつぶされたように水平線となっている状態です。
トンカチがチャートの底値圏で現れるようになってくると、「売り目線を買い目線にしたほうがいい」ということをローソク足が教えてくれているということです。売りポジションで含み益の場合は勿論、含み益が出ていない状況でも手仕舞いしてノーポジションとしたい局面となります。
ローソク足の並びで分かること
ローソク足はその並びを見ることで相場環境の分析をすることができます。有名なものに「酒田五法」というものがあり、一定のパターンに該当すれば値動きの予測も可能です。
ただし、「酒田五法」そのものには多くのパターンが紹介されていますので、ここではもっと簡単で初心者にも覚えられる基本的な二つのパターンを紹介します。
はらみ足

2つの隣り合うローソク足の長さを比べて、左側のローソク足が長く、左側のローソク本体部分の上端と下端の価格内に短い右側のローソク足がヒゲ部分を含めて収まっている状況のことを「はらみ足」、または「はらみ線」といいます。
はらみ足は海外ではインサイドバーと呼ばれ、エントリーポイントや相場のトレンド転換の見極めに利用できます。底値圏では左側のローソク足の上ヒゲの上端を抜けた瞬間に上方向へのトレンド転換を狙った買い注文でエントリー、天井圏では左側のローソク足の下ヒゲの下端を抜けた瞬間に下方向へのトレンド転換を狙った売り注文でエントリーといった狙い方ができます。
つつみ足

2つの隣り合うローソク足の長さを比べて、右側のローソク足が長く、右側のローソク本体部分の上端と下端の価格内に短い左側のローソク足がヒゲ部分を含めて収まっている状況のことを「つつみ足」、または「つつみ線」といいます。
つつみ足は海外ではアウトサイドバーと呼ばれ、エントリーポイントや相場のトレンド転換の見極めに利用できます。底値圏では右側のローソク足の上ヒゲの上端を抜けた瞬間に上方向へのトレンド転換を狙った買い注文でエントリー、天井圏では右側のローソク足の下ヒゲの下端を抜けた瞬間に下方向へのトレンド転換を狙った売り注文でエントリーといった狙い方ができます。
ローソク足をプライスアクショントレードに活かす
プライスアクショントレードは価格そのものに着目したトレード手法で、急変する相場において有効です。このプライスアクショントレードにおいてローソク足はその実力を発揮する稀少なテクニカルです。
ローソク足の形や並びで相場環境を判断する
FX業者の提供する取引ツールには様々なテクニカルがビルトインされていますが、相場の天井や底といった転換ポイントを教えてくれるテクニカルはそう多くありません。
ローソク足は形や並びで相場の天井や底といった転換ポイントや、エントリーして勝てる相場なのか、そうでない相場なのかをトレーダーに教えてくれます。
具体的には、長期のローソク足の形状や並びから、トンカチやカラカサは相場の転換ポイント、日足ローソク足の並びがはらみ足は様子見し、つつみ足でトレードチャンスを伺うといった判断ができます。
長期と短期のローソク足を同時表示させてみる
ローソク足の関係から言えば、短期のローソク足の集合体が長期のローソク足です。同時表示させることで、マルチタイムフレーム分析が可能となりますし、長期のローソク足の並びが揃っている価格は、サポートやレジスタンスとして機能することが多いです。
具体的にどのようなマルチタイムフレーム分析かと言えば、短期のローソク足が陽線かつ長期のローソク足が陰線の場合、または短期のローソク足が陰線かつ長期のローソク足が陽線の場合は、長期と短期の値動きの方向が逆なのでエントリーしないとする判断ができます。
ローソク足の並びでブレイクしそうな価格を把握する
長期ローソク足の4本値(始値、終値、最高値、最安値)はエントリー価格、ブレイク狙いの価格として他のトレーダーから狙われやすい特徴があり、特に世界中のトレーダーが見ていると言われている日足のローソク足の4本値はその傾向が強いと言われています。
長期ローソク足の節目価格に到達し、長期ローソク足と短期ローソク足がいずれも陽線、または陰線になった際にエントリーすれば、ブレイクを狙うことができるでしょう。
移動平均線を加えてみよう
ローソク足で節目となる価格、およびプライスアクションを把握した後、そのプライスアクションが続いているか否かの確認で便利なのが移動平均線です。
移動平均線とローソク足の位置関係で、相場が売り目線か買い目線かが分かる他、移動平均線の傾斜角度で、価格が動く勢いを知ることができます。
ローソク足以外の使える「足」
トレードにおいて、ローソク足がデフォルトで表示されるチャートを提供してるFX会社が殆どですが、ローソク足以外にもトレードで使いやすい「足」はあります。これらはトレンドフォローを基本戦略とするトレーダーには使いやすい「足」となっています。
練行足(れんこうあし)

練行足は「ねりあし」とも言われ、ローソク足が時系列で値動きを示すのに対し、非時系列に表示が更新される点に違いがあります。また、そうした事情からいわゆる「ヒゲ」がないのも特徴と言えます。
あらかじめ練行足を表示する値幅を決めておき、その倍以上の値動きがある場合に足が上昇または下降方向に更新される形になります。
練行足の値幅を小さくすれば、より敏感に価格の動きに応じて表示が更新されるようになりますが、大きな価格の動きを掴みたい、トレンドフォローの際のトレンドの方向を知りたい場合は練行足の値幅を大きくする方がわかりやすくなります。
ローソク足でサポートやレジスタンスとなる価格の位置を把握し、練行足がその価格を上抜けする、又は下抜けすることが確定した場合にエントリーする、そして練行足の色が変わった時点で決済するといった使い方をすれば、かなり精度の高いトレードができるでしょう。
平均足

平均足はローソク足と移動平均線のハイブリッドのような性質をもち、トレンドフォローを基本戦略とするトレードにおいてはとても使いやすいテクニカルです。ローソク足というよりも移動平均線に近い性質を有しています。
ローソク足との大きな違いは、平均足では陽転や陰転の頻度がローソク足より減り、突発的な動きやノイズによる幻惑が減り、平均足の色が変化するまで利益を伸ばすことができる点です。
チャートにローソク足と移動平均線を表示した状況に近い内容が、平均足の表示だけで把握できますので、チャートをよりシンプルに見やすくしたい場合には使ってみるといいでしょう。
ローソク足と平均足を同時に表示するといった使い方も、注文と決済のタイミングに迷いがある場合にはオススメです。
まとめ
ローソク足は使い方次第でトレードする方の強い味方になることは、あまり知られていないかもしれません。人気のテクニカルである移動平均線やボリンジャーバンド、一目均衡表などと比べると、印象は薄い面があります。
しかしトレードが上手な人ほど、ローソク足の見方や使い方に精通していることが多く、中には「チャートに表示するのはローソク足だけで十分」と豪語する猛者もいるほど、奥の深いテクニカルなのです。