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イギリスポンドは乱高下で危険?その要因と特徴を詳しく解説

FX初心者の方がイギリスポンドを含む通貨ペアを選択することはあまりないかもしれません。一般に「イギリスポンドを含む通貨ペアは上級者向け」と紹介されています。理由はレート変動の大きさと激しさにあるかもしれませんが、要因に何があるのでしょうか。

  1. イギリスポンドは乱高下で危険?
  2. イギリスポンドに関係する通貨ペアを再確認
    1. イギリスポンドに関係する通貨ペア
    2. GBP/JPYとGBP/USDの違い
    3. ◇GBP/JPYの通貨ペアは攻略上の難易度が高い
  3. イギリスポンドの乱高下する理由を考える
    1. イギリスポンドの乱高下する理由の考察1
      1. ブレグジット
      2. 要人発言
      3. イギリスの経済指標
    2. イギリスポンドの乱高下する理由の考察2
      1. ロンドン市場の為替取引規模は世界最大
      2. ロンドン市場はニューヨーク市場と被る時間帯がある
    3. イギリスポンドの乱高下する理由の考察3
      1. 豪ドルとの関係
      2. カナダドルとの関係
      3. 米ドルとの関係
  4. イギリスポンドが乱高下する時にチャートで確認したいポイント
    1. 豪ドルがイギリスポンドの影響を受けて乱高下
    2. カナダドルがイギリスポンドの影響を受けて乱高下
    3. 米国要人発言を受けてイギリスポンドが乱高下
  5. イギリスポンドが乱高下する時に有効なテクニカル
    1. 長期ローソク足
    2. RSI
    3. Standard-Deviation
  6. まとめ

イギリスポンドは乱高下で危険?

FXをされている方にとって、イギリスポンドが入った通貨ペアをメインにトレードされている方はそう多くないのではないでしょうか。

上手なトレーダーの方でも、中にはあえてイギリスポンドが入った通貨ペアを避けて、別の通貨ペアでトレードされている方がおられます。

イギリスポンドのイメージや認識は次のいくつかが該当するかもしれません。

  • レート変動が激しい
  • レート変動幅(ボラティリティ)が大きい
  • 動きが速い
  • テクニカル分析で追い切れない時がある
  • 大儲けできる
  • 大損する

イギリスポンドを乗りこなすことが、FXで食べていけるかどうかの目安とも言われていますが、初心者が手をつけると相場環境次第で酷い目に遭うことが多々あります。

極端な表現ですがイギリスポンドは別名「殺人通貨」と紹介されている場合があります。

これは、ハイレバレッジでイギリスポンドに挑むと、ほぼ破産するということの例えだと思いますが、一攫千金のチャンスもあるのでその魅力は捨てがたいものがあります。

イギリスポンドに関係する通貨ペアを再確認

イギリスポンドに関係する通貨ペア

イギリスポンドに関係する通貨ペアで国内FX業者で取り扱っているものをピックアップしてみましょう。

  • GBP/JPY(イギリスポンド・日本円)
  • GBP/USD(イギリスポンド・米ドル)
  • GBP/AUD(イギリスポンド・豪ドル)

GBP/JPY、GBP/USDあたりの通貨ペアは、トレードしてみた経験がある方は少なくないでしょう。

GBP/JPYとGBP/USDの違い

GBP/JPYはクロス円というカテゴリーに属する合成通貨です。

合成通貨とは実際の為替取引で直接取引されているのではなく、直接取引されている通貨ペアを掛け合わせてレート算出したものです。

GBP/JPYの場合は、一般的に米ドルを仲介する形で、次のように表記されている場合が多いです。

・GBP/JPY=GBP/USD×USD/JPY

つまり、GBP/JPYのチャートは、GBP/USDのチャートの情報とUSD/JPYの情報が合成されているというわけです。

これに対してGBP/USDはドルストレートいうカテゴリーに属する通貨ペアです。

◇GBP/JPYの通貨ペアは攻略上の難易度が高い

日本人だと通貨ペアに日本円が入っているGBP/JPYの方を選ぶ方が多いかもしれませんが、GBP/JPYはそれだけでレート変動の激しいGBP/USDが含まれており、さらにUSD/JPYのレート変動の影響が加わるので、難易度のかなり高い通貨ペアと言えます。

難易度の高いGBP/JPYですが、次の状況では爆益となる相場環境なので、売り注文や買い注文を適切に行えば、USD/JPYのようなお馴染みの通貨ペアの何倍も稼ぐことが可能です。

  • GBP/JPY売り注文で爆益:JPY>USD>GBPの相場環境
  • GBP/JPY買い注文で爆益:JPY<USD<GBPの相場環境

イギリスポンドの乱高下する理由を考える

イギリスポンドの乱高下する理由はさまざまですが、次の三つの要素が考えられるのではないでしょうか。

  • ファンダメンタル
  • ロンドン市場の特徴
  • 通貨そのものの歴史的背景

ファンダメンタルの要素でレート変動を起こすのはイギリスポンド以外の通貨も同じですが、ロンドン市場の特徴や通貨そのものの歴史的背景にもイギリスポンドの乱高下する理由があるのかもしれません。

イギリスポンドの乱高下する理由の考察1

(ファンダ/ブレグジット)

イギリスポンドの乱高下する理由として、ファンダメンタルの要素に次の三つが挙げられます。

  • ブレグジット
  • 要人発言
  • イギリスの経済指標

ブレグジット

ブレグジットとはイギリスのヨーロッパ連合(EU)からの離脱のことで、離脱後はイギリスとEUの貿易や人の往来に様々な規制がかかり、国境管理問題の他、様々な問題が発生すると予想されています。

ブレグジットによるイギリスおよびEU諸国の受ける経済的なデメリットを危惧して、為替相場が敏感に反応する場合があります。

ブレグジットに関してイギリスとEUの協議が進んでいますが、これに関連してポジティブなニュースの場合はイギリスポンドが暴騰し、ネガティブニュースの場合はイギリスポンドが暴落する傾向が続いています。

要人発言

要人発言は財政金融政策を担当する大臣や官僚の発言、又は中央銀行のトップが定期的に行う記者会見の場で発せられる発言のことです。

発言内容を市場取引関係者がどのように理解したかということ、およびそうした発言をする前の市場取引関係者による予想や憶測によってイギリスポンドが大きく動く場合があります。

市場取引関係者による予想や憶測、発言に対する理解を予想してトレードするのは困難なので、値動きが落ち着くまで様子見する方がいいでしょう。

特にイギリスポンドの場合、要人発言の内容がポジティブと思われる場合であっても暴落したり、ネガティブと思われる場合であっても暴騰したりしますので要注意です。

イギリスの経済指標

経済指標のうち、最も注目したいのは政策金利の発表でしょう。

このことは米ドルやユーロの場合も同様です。

それ以外ですと、GDPのうちで大きな比率を占める消費やそれに関連する賃金や物価などの指標もイギリスポンドの動きに大きく影響します。

経済指標の発表前にすでに前回の値と、経済指標によっては予想値が明らかになっている場合があります。

前回の値より今回発表された値が好転してても、予想を大きく下回っていればイギリスポンドが大きく下落することがありますし、逆に前回の値より今回発表された値が悪化してても、予想を大きく上回っていればイギリスポンドが大きく上昇する場合があります。

イギリスポンドの乱高下する理由の考察2

イギリスポンドの乱高下する理由として見逃せないのが、イギリスの外国為替取引市場であるロンドン市場の特性です。

ロンドン市場の為替取引規模は世界最大

為替取引規模のNo1は株取引におけるウォール街の印象が強いため、ニューヨーク市場をイメージしがちですが、実はロンドン市場なのです。

2016年時点ではロンドン市場の1日当たりの取引額はニューヨーク市場の約2倍、取引額シェアでは40%近くを占めます。

ロンドン市場には外国から金融機関が集中しており、金の価格を決めるのもロンドン市場です。

通貨別の取引シェアでは、米ドル、ユーロ、日本円、そしてイギリスポンドの順で、ほぼ米ドルが大多数ですが、イギリスポンドはシェアが低い分、取引が特定の日や時間帯に集中しやすく、米ドルに比べてバラツキがあります。

こうしたバラツキがイギリスポンドの値動きを激しく、急速なものにしているのかもしれません。

ロンドン市場はニューヨーク市場と被る時間帯がある

ロンドン市場は日本でいう夕方から深夜の時間帯にオープンしています。

この時間帯のうち、かなり長い時間にわたって、後に続いてオープンするニューヨーク市場と被り、取引にはヨーロッパのトレーダーに米国のトレーダーが新たに参入する形になります。

トレード参加者が最も多い時間をロンドン市場とニューヨーク市場で共有しており、特に米国の外国為替市場が開く時間帯以降は値動きが最も大きくなる場合が多いです。

ロンドン市場のオープンから前半は、豪ドルや日本円とイギリスポンドの通貨ペアを、ニューヨーク市場オープン以降の後半からはカナダドルや米ドルとイギリスポンドの通貨ペアに注目するといいでしょう。

イギリスポンドの乱高下する理由の考察3

近世から現在まで、米国が台頭して米ドルが世界の基軸通貨となる以前は、イギリスポンドが世界の基軸通貨でした。

イギリスポンドが強大なパワーを持つ背景には、かって世界を席巻した大英帝国の面影があるのかもしれません。

豪ドルとの関係

豪ドルを自国通貨とするオーストラリアは資源国で、石油や鉄鋼石などが豊富に採掘され、その多くは中国に輸出されています。

オーストラリアはかって大英帝国時代には、イギリスの植民地であったことをご存じの方は多いかと思います。

また、独立後もイギリス連邦の一角であり、オーストラリアの国家元首はイギリスのエリザベス女王です。

こうした歴史的な深いつながりがあることは、通貨取引にも色濃く反映される傾向があります。

例えば、日本時間の朝方に豪ドルに大きな値動きがあったとすれば、夕方のロンドン市場開始直後以降のイギリスポンドの動きに影響を与えることが多いです。

カナダドルとの関係

カナダドルを自国通貨とするカナダも資源国で、石油や天然ガスの他、さまざまな天然資源を産出して輸出している国です。

カナダもイギリス連邦の一角であり、オーストラリアの国家元首はイギリスのエリザベス女王です。

カナダドルもニューヨーク市場のオープン前後からイギリスポンドの動きに影響されて大きく売り込まれたり、集中的に買われる場合があります。

カナダの経済指標の発表前後にイギリスポンドの動きを注視してみると、良いトレードができるかもしれません。

米ドルとの関係

世界最大の経済大国の米国の通貨である米ドルは同時に世界でもっとも多く流通する基軸通貨です。

米国はイギリスを最も信頼する同盟国としており、そのことはかっての世界の基軸通貨であったイギリスポンドと現在のそれである米ドルとの関係に深く影響しています。

ただし、流通量は米ドルの方がイギリスポンドをはるかに凌駕しているので、米ドルに対して一方的にイギリスポンドが暴落する、または暴騰するといった動きが多くなります。

同じヨーロッパ通貨であるユーロと米ドルの通貨ペアより、イギリスポンドと米ドルの通貨ペアの方がボラティリティが高くなる傾向にあるのは、ユーロの方がイギリスポンドより圧倒的に取引量が多いことが関係しています。

イギリスポンドが乱高下する時にチャートで確認したいポイント

イギリスポンドが乱高下する時は、他の通貨のいずれかも乱高下しています。

例えばイギリスポンドが暴騰しているとすれば、イギリスポンドを買うために他の通貨のいずれかが投げ売りされて暴落しているかもしれません。

逆にイギリスポンドが暴落しているとすれば、イギリスポンドが投げ売りされて、他の通貨が集中的に買われているかもしれません。

そうした場合に確認したいのが、他の通貨の動きです。

特に次の三つの通貨の値動きを確認するのがポイントです。

  • 豪ドル
  • カナダドル
  • 米ドル

豪ドルがイギリスポンドの影響を受けて乱高下

上に示したのは2019年2月27日のイギリスポンド・豪ドル(ポンドオージー)の1時間足チャートです。

2019年2月27日のロンドン市場が開いてからイギリスポンドに買いが集中し、豪ドルに売りが集中して、いわゆる「爆上げ」となった例です。

なお、チャート下部のインジケータは通貨強度をグラフ化したものです。

カナダドルがイギリスポンドの影響を受けて乱高下

上に示したのは2019年2月25日から26日のイギリスポンド・カナダドルの4時間足チャートです。

2019年2月25日のロンドン市場が開いてから翌日の同時刻まで、イギリスポンドの買い、カナダドルの売りがほぼ24時間継続して、大きなトレンドとなった例です。

米国要人発言を受けてイギリスポンドが乱高下

最後に、ロンドン時間以外で大きく動くケースをご紹介します。

上に示したのは2019年1月15日のイギリスポンド・米ドル(ポンドル)の1時間足チャートです。

この日は米国で日本時間の深夜の時間帯に要人発言がありました。

要人発言までは市場関係者の思惑の先行によって、イギリスポンドが売られて米ドルが買われる展開でしたが、要人発言の内容が市場関係者の思惑とかなり違いがあったため、イギリスポンドが急速に買い戻されたケースとなります。

こうした急速な動きが、イギリスポンドが「危険な通貨」として広く知られている要因になっているのかもしれません。

このような動きの場合、要人発言の前から発言後にかけて、ローソク足の形やRSIの動きを集中的に監視する必要があります。

具体的には長期ローソク足に大きな下ヒゲが見られ、RSIが10付近を下回った場合は大きな反転が予想できます。

イギリスポンドが乱高下する時に有効なテクニカル

イギリスポンドが乱高下する時は、移動平均を軸とするトレンド系のテクニカルだと反応が遅く、イギリスポンドの速い動きについていくのは難しいです。

こうした傾向は、特にデイトレードやスキャルピングで使われることが多い、15分足より下位(短期)足のチャートほど顕著になります。

使用するテクニカルとしては、現在の値動きをタイムラグなしで示すローソク足を基本に、レート変動に敏感に反応するオシレーター系のテクニカルで反転ポイントや、値動きの勢いを監視するのがいいでしょう。

長期ローソク足

ローソク足の上ヒゲの上端、下ヒゲの下端はその時間足のタイムスパンにおけるレジスタンスおよびサポートとなる価格と考えられます。

よって、レジスタンスを上抜けすれば、レートは次のレジスタンス目指して急激に上方向に伸びていきますし、サポートを下抜けすれば、レートは次のサポート目指して下方向に伸びていきます。

ローソク足は日足、短いものでも4時間足以上を使うのがオススメです。理由は長期足のものほどレジスタンスやサポートとして強力に機能するからです。

イギリスポンドを含む通貨ペアが上方向、又は下方向に急激に伸びる前兆として、これらの長期ローソク足の形が十字線に近い形となっていることが多いです。

RSI

RSIは相場の値頃感をグラフで視覚化した、シンプルな考え方ながらとても役立つテクニカルです。

オシレーター指標として逆張りで使うことを推奨する情報が多いですが、RSIの傾きが変わるポイントを追跡することで、順張りにも、さらにレートの急変をダイバージェンスで前もって知らせてくれる、反応の早いテクニカルです。

RSIを使う場合、前述の長期ローソク足の4本値(上ヒゲ上端、下ヒゲ下端、実体の上端、実体の下端)とリンクするようにタイムスケールを調整しておくとなお良いでしょう。

例えば4時間のローソク足を表示させているのであれば、上ヒゲ上端を反転リスクがあるRSIの90、下ヒゲ下端はRSIの10、さらに実体の上端をRSIの60、実体の下端をRSIの40となるようRSIのタイムスケールを調整するとより使いやすくなります。

Standard-Deviation

長期ローソク足、RSIで節目となる価格レンジ、レジスタンスやサポートとなる価格、さらに値動きの方向は把握できます。

さらに監視したいのが、ボラティリティが拡大しているのか、縮小しているのか、その速度は速いのか、遅いのかということです。

ボラティリティが拡大しているのか、縮小しているのかでよく用いられるテクニカルとして、ボリンジャーバンドがあります。

このボリンジャーバンドは視覚的にわかりやすい点では一番ですが、ボラティリティが拡大しているのか、縮小しているのかは明確な反面で、その速度は速いのか、遅いのかがわかりにくいです。

さらに移動平均をベースにしているので、イギリスポンドの速い動きに対して、どうしても遅れがちになります。

Standard-Deviationはトレンド系のカテゴリーに入っているテクニカルですが、使用感はオシレーター系のテクニカルに近くて、値動きに対する反応が早いので、ボラティリティが拡大しているのか、縮小しているのか、さらにその速度は速いのか、遅いのかがグラフの傾きで一目で分かるのでオススメです。

まとめ

イギリスポンドはFXトレーダーの間では、乗りこなすことが難しい「じゃじゃ馬通貨」として知られています。

一方で他通貨が膠着状態にある場合に、最初に大きく動き出すのがイギリスポンドであることも多いです。

イギリスポンドが相場で暴れているときは、イギリスポンドのターゲットとなっている通貨を除く、他の通貨は膠着状態で、イギリスポンドが落ち着いてから動き出すことも多々あります。

「じゃじゃ馬通貨」のイギリスポンド、その急激で速い動きについていくためには、他通貨以上にトレードの判断を素早く行うとともに、よりプライスアクションに注目したテクニカルを駆使することが必要かもしれません。

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