元機関投資家が教えるシステムトレードの稼ぎ方!

数年前に私は金融機関で株式投資で収益をあげる部署いわゆる運用部に所属していました。そこでは社員総出となって日夜、数千億円以上のお金を株式や先物などに投機し利鞘を稼いでいたのです。そこで優秀なトレーダーの多くはシステムトレードをメインとしたシステムトレーダーでした。
システムトレードとは?
指定した条件を基にして機械的に取引を行うものです。株式投資は様々な感情や欲望が入り混じります。その人が持っているスキルでもっと利益が取れたのにという場面でも「急落したらどうしよう」と思ってしまったり「もっと稼げるはずだ」という欲から下落に巻き込まれるものです。
私自身も普段通り取引できていれば大きな利益を獲得することが出来たはずだ。というシーンで、プレッシャーによる早めの利確と強欲さからなる遅すぎる損切りによって結果が思わしくなかったことは数え切れないほどあります。この経験は投資経験が長い人であれば誰しもが共感するものでしょう。
システムトレードはそれらを条件化することで感情や欲望、プレッシャーなど全てを取り払い機械化することで利益を狙うものです。システムトレード中はパソコン画面を閉じて読書をする人もいれば少額資金でスキャをする人、たまに寝る人だっています。
しかしシステムトレードは一見すると簡単そうに見えますが、かなり難しくハードルは高めです。まずはその難しい理由をいくつかご紹介します。逆にこのハードルを難しいと思わなければシステムトレーダーに向いているでしょう。
投資戦略を組む必要がある
当たり前のことですが、利益をあげるためには投資戦略を自分で考える必要があります。この投資戦略は元々の知識が無ければどんなものかの発想すら湧きませんが、下部に運用部に在籍していた頃に使用していた投資戦略の一部を記載してあるので参考にしてください。
パソコンスキルが必要
システムトレードをベースにするものは例えばExcel上でマクロやVBAをプログラミングすることでシステム化することが可能です。Excelと株式市場をリンクさせる必要があり、それらの知識や方法を既に身に着けていることが条件です。
根気が必要
システムトレードでは投資戦略を構築したあともPF(プロフィット・ファクター)を見直しつつ何度も再編成する必要があります。PFとは総利益割る総損失で算出した数値で、数値が高ければ高いほど優れています。
システムトレードでは過去データを用いて検証を行う必要があります。例えばA社の株のデータを直近5年分ほど取り寄せてゴールデンクロスになったら買い、デッドクロスになったら売りという設定を組みます。そこで過去5年間にこの条件だとPFはいくつであったか?を調べます。
このPFを高める作業がとてつもなく大変で長い作業時間です。ここだけで1年以上足踏みする人もいるほどです。
定期的に勉強する努力が大事
システムトレードの経験が無い人は当然、システムトレードの勉強をしなくてはなりません。株式投資経験が長くてもシステムトレードの知識が無ければシステムを構築することは出来ないからです。そこで新たに学習し勉強することができるのかどうかが重要なポイントになってきます。
でも実は個人投資家は簡単
これらは法人の運用部でシステムトレードを行う場合で、個人投資家が自室で取引を行う場合は条件がかなり緩くなります。それでも株式投資経験とパソコンスキルが皆無の人からすれば難しいままです。
現在は、各証券会社が提供している取引ツールではシステムトレード向きのものもあります。その証券会社を使うことでシステムトレードのハードルはとても低くなるでしょう。
但し、システムトレードの取引ツールを提供していない証券会社でどうしてもシステムトレードを行いたい場合はハードルが高いままです。
MARKET SPEED II
楽天証券が提供しているマーケットスピード2ではアルゴ注文が可能です。このアルゴ注文がかなり反則級で強力です。はじめての取引がマーケットスピード2だと他の証券会社に移れない可能性を他社は懸念しているのではないでしょうか?

冒頭で紹介しましたが、株を購入すると様々な感情から「早く手放してこの苦しみから解放されたい」と思います。含み利益でも含み損でもこう思うでしょう。つまり株を買った後にすぐ手放してしまったり損切りが遅れる。ということはよく起こります。初心者のみならず上級者にも起こり得ることです。
マーケットスピード2のトレイリング注文というアルゴを使うことで利益が出ているときは伸ばし、損切りは素早く対応してくれます。やはりこれに慣れてしまうと他社で取引できなくなってしまう可能性がありそうです。
TRADE STATION
マネックス証券が提供しているトレードステーションは元々アメリカの企業でマネックス証券が買収(2011年339億円で買収することに合意)したものです。トレードステーション社はアメリカの有名な金融メディア「バロンズ紙」から2011年から8年連続で最高評価を獲得するほどの取引ツールです。
ありとあらゆる売買ストラテジーに対応しておりその投資戦略は無限大ともいえます。過去データの取得から検証までクリック1つで行えるので慣れてしまえば自分だけの最高のトレードツールを自作することが可能です。
更に驚くべきはマネックス証券に口座を持った人であれば使用料は無料です。
岡三RSS
岡三オンライン証券が提供している取引ツールで予めExcelと株式市場をリンクした状態で使えます。更にExcelに入力するマクロやVBAも事前に組まれているのでほとんどのことが出来るようになっています。
私自身もExcelでシステムトレードをしていた経験があるので、とても馴染みやすい反面、岡三RSSおよび岡三オンライン証券の手数料も割高です。
これら3証券が提供している各取引ツールを使えばシステムトレードに対するハードルはとても低くなります。難易度が低い順に並び変えると楽天証券→岡三オンライン証券→マネックス証券です。
楽天証券のアルゴ注文はシステムトレードとは少し違うものがありますが、システムトレードの入門編と思えば違和感はあまりないと思います。
次にマネックス証券のトレードステーションか岡三オンライン証券の岡三RSSを使用する際にオススメのシステムトレード戦略をご紹介します。
トレードステーションにオススメ!ロングショート戦略
ロングショートとは割安な株を買って、割高な株を空売りすることで双方で利益を狙うものです。何をもって割安割高を決めるのかが重要で、多くの人がまずチャートをみて判断しがちですがこれは間違いです。
割安・割高の判定基準
①企業業績が上昇しているのに株価が下落している場合で他に悪材料が当該企業発信で見当たらない場合(例えば日経平均株価の下落につられる形で株価を下げているような場合は良し)


上記写真はニトリ<9843>の業績と株価の推移ですが、売上高と営業利益、経常利益、純利益が伸びているのに株価が1年で大きく値を下げています。前年度の株価が適正とするならば前年度よりも向上している業績でこれほどまでに下落した場合は割安であると言えます。
②ZAI式理論株価と実際の株価とのギャップを使う方法です。株雑誌ダイヤモンドZAIは理論株価の計算式を公開しています。ダイヤモンドZAIは初心者向けのコーナーから金融機関やプロの個人投資家達も読んでいるほど優れた雑誌です。ZAIは
理論株価=資産価値(BPS)+利益価値(EPS)+成長価値(売上高伸び率)
で計算が可能だとしています。BPSとEPSは決算書に記載されているので、簡単です。

先ほどのニトリ<9843>を例に見てみると、項目の「1株益(円)」これがEPSです。そして右下にはそのままBPSと書かれています。この2つを使って理論株価を計算することが出来ます。
次に成長価値ですが、これは一律「6」と覚えておきましょう。具体的には業種ごとで様々ですが、その年毎に異なりますしはっきりとした答えは出しにくい部分です。より正確に求めたい方は1~20程度の数字を順々に当てはめて最もしっくりくる数字を採用すればいいでしょう。その場合、特定の企業だけで判断せずに業種全体企業で調べる必要があるので相当面倒ですが・・・。
しかしこれらの数字を先の計算式に代入しても理論株価は5,000円にも届かず、ニトリの株価の3分の1程度となってしまいます。ただニトリは2013年に株式分割をしてから以来行われておらず、株価はやや高めの設定ですので、この計算方法では合わないかもしれません。無理矢理ですが
理論株価=資産価値(BPS)+ 利益価値(EPS)× 成長価値(売上高伸び率)
とし小売業を「4」で設定すれば理想的な理論株価になりますし、6でも良いと思います。
割安の判断基準は上記の通りで割高の判断基準はその逆で覚えておきましょう。同じまたは
似た条件で揃えた方が売買時の正確さにも影響を与えると思いますので、①で割安基準を求めるなら割高基準も①で統一しましょう。また自分自身で判定基準を見つけてもおもしろいですね。
ベータ値を合わせる
日経平均株価やTOPIXなどの株価指数に対して株価がどれぐらい反応しているかを数字に変換したものがベータ値です。例えば対日経平均株価β:1.00となっている現物株が5%上昇した場合、日経平均株価も5%上昇するように同じ動きをします。反対に-1.00となっていれば日経平均株価が上昇すれば株価は値下がり、日経平均株価が下落すれば株価は上昇します。
例えの様にベータ値が1.00になっていることは珍しく、だいたいは0.9674といった具合に細かい数字になるケースになります。これを利用してリスク管理に使用したりPF検証時の注意点としてみます。
少し相場が荒れている時は正のベータと負のベータを足して0に近づけることで日経平均株価が大きく変動しても損益は小さくすることが出来ます。例え損失が出たとしても致命傷を避けることが出来るのです。また過去データ検証時にPFがとても高い場合でも組み合わせの銘柄のベータ値が異常に偏っていれば日経平均株価の変動でPFが高いだけとなりますので、それであれば単純に先物を売買した方が良い。と言えるわけです。
どうでしょうか?システムトレードはとても難しく、一筋縄ではいかないことがお分かり頂けたかと思います。しかしこれら苦の道を開拓することが出来れば打ち出の小槌の様な放っておいても損益が発生するポジションを作成することが出来るかもしれません。
システムトレードやロングショートは私にとっては身近な方法であり、高度な技術を持った敏腕投資家が使うイメージです。極めるまでに時間は掛かりますが、コツコツと努力を続けて完成させようと思える方はチャレンジすることをおすすめします!