株式投資

信用残から見る株価の動き

  1. 現物取引
  2. 信用取引
    1. 逆日歩とは?
    2. 一般信用取引
    3. 信用残を使って投資家心理を考える

現物取引

企業の株を売買するには2つの取引方法があります。それが現物取引と信用取引です。現物取引は自分が証券口座に入れているお金の範囲内で売買するもので一般的に想像するのはこちらではないでしょうか?現物取引は信用取引とは違い信用手数料や金利が発生しない為、中長期保有には非常に向いています。一方で、秒単位や分単位で売買していくスキャルピングトレード、1日の中で売買を完結させるデイトレードには不向きとされています。

理由として、1度使った資金を使うには日をまたがないと使うことは出来ません。例えば50万円の運用資金があったとして1,000株で30万円の株をデイトレードで売買するとその日はもう余力が20万円しか残らず、1,000株での購入は出来なくなってしまいます。(ただし、日が経つと再び余力に反映されて売買が可能になります)

少ない資金でスキャルピングトレードあるいはデイトレードをやってみようと思う方には現物取引では思った運用は出来ないでしょう。また売買回数が限られると損切りや利益確定することを躊躇してしまいます。この一瞬の気の迷いが思わぬ損失に繋がることになるためオススメできません。

少ない資金で現物取引を行う場合は、中長期トレンドを意識したスイングトレードで戦略を立ててみましょう。スイングトレードについて詳しい解説はこちらから(リンクNo.27)

信用取引

現物取引とは違い同じ資金を同じ日に複数回に渡って売買することを可能にしたのが信用取引です。ただ現物取引と違って信用手数料や金利、逆日歩などが発生するため現物取引よりも費用が多く発生するのがデメリットの1つです。また制度信用取引の場合は6ヶ月間以上保有することが出来ず、強制決済をされてしまいます。その為、中長期保有目的で信用取引を使うのはあまりオススメではありませんが、スキャルピングトレードやデイトレード、スイングトレードでは非常にオススメしたいのが信用取引です。

信用取引にはもう1つ大きな特徴があります。それはレバレッジを効かせることが出来るというポイントです。信用取引のレバレッジを使うと購入に必要な株価の30%分が証券口座に入っていれば取引が可能です。即ち、自分の運用資金の最大約3.3倍の売買が可能になるということです。

逆日歩とは?

信用取引では株を売買する際に売りから入る空売りという方法があります。空売りは下落に投資する方法ですが、空売りの仕組みは個人投資家が自身の証券会社から空売りをしたい会社の株を借りてきます。借りてきた株を売って、値段の下がったところで同じ株を同じ株数だけ買い戻し、証券会社に返すことで差額の損益がもらえます。

ただ証券会社も無限に株を持っているわけではなく、在庫に株が無くなると日本証券金融株式会社(通称、日証金)から株を借りてきます。この時に証券会社が日証金へ支払う手数料(品貸料)は証券会社が負担するのではなく、空売りを行う投資家に負担してもらおうとするのが逆日歩です。逆日歩手数料は、この時に発生する費用のことです。

逆日歩は高額になる場合がほとんどです。下の表をご覧ください。

品貸料が1株あたり16円になっています。即ち、100株でも1,600円の手数料が発生することになる為、非常に高額であることが分かります。この様に逆日歩が発生すると通常の信用取引や金利とは別に高額な逆日歩手数料が乗っかってくるので、多くの個人投資家は早々に信用取引を手仕舞いさせようとします。

空売りを手仕舞いするということは、売っていた株を買い戻すことになるので多くの「買い」が入ってくることになる為、逆日歩が発生した株は株価が上昇する傾向にあります。こういったのを踏まえてもそのまま空売りし続けるメリットはありません。

一般信用取引

これまでお話していたのは制度信用取引と呼ばれるものですべての証券会社でご利用できるものですが、実は信用取引は制度信用取引と一般信用取引の2種類があります。一般信用取引は制度信用取引と違って、返済期限が設けられていないことや逆日歩が掛からないことなど多くのメリットがある代わりに通常信用手数料や金利が若干高くなります。とはいえ大した金額ではありませんので、制度信用取引よりも有利だといえます。しかし、一般信用取引を扱っている会社は少なく、SBI証券や松井証券、カブドットコム証券しか取扱いがありません。

信用残を使って投資家心理を考える

信用取引によって株を買った人がまだ決済せずに株を保有しているときに買残(かいざん)と呼ばれる数値が増加します。反対に、信用取引を使って株を空売りした人がまだ決済せずに株を保有しているときは売残(うりざん)の数値が増加します。

出典 : Yahoo!ファイナンス

上記の信用取引情報は大手自動車メーカーのSUBARU<7270>のもの。先週の発表では、完成車検査の不正が先月まで続いていたというもので、過去の「不正終焉」宣言から間もないことや4度目となるリコールを受けて国土交通省はSUBARU<7270>に再発防止を勧告し、更に業務が改善されるまで「重点的な監視対象」とすると発表しました。この報道を受けてSUBARU<7270>の株価は大幅下落しました。

上の画像はSUBARU<7270>の不正発生ニュースから現在2018/11/18までの株価です。

ここで先ほどの信用取引情報を確認してみます。11月5日に不正のニュースがあったのに信用買残が前週比で+993,000株も増えています。これは993,000株の信用取引による買いが入ったことを意味しています。一方で、空売りした人は前週比+245,500株と増えていますが信用買残量と比べれば少ないことが一目瞭然です。ここでSUBARU<7278>の10年チャートを見てみます。

赤色の線は、最新の価格水準を引っ張ったものですが、2013年5月~2014年5月時点での株価と同水準になっていることが分かります。最高値時と比較してみると、半額以下にまで落ち込んでいます。現在の価格帯を下回ると次はいよいよアベノミクスで押し上げた株価の水準値まで転落してしまう勢いです。

度重なる不祥事で国土交通省から監視対象となったSUBARUですが、それでも大手の一流自動車メーカーであることに変わりはありません。これ以上更なる下落が起こると踏んで空売りを行った個人投資家よりも、適正な株価まで戻ったとして押し目買いを仕掛けた投資家の方が多かったことが分かります。

また、併せて確認したいのが「貸借倍率」です。表では、4.19倍となっていますがこれはとても少ない方です。貸借倍率では、信用買残と信用売残を割ることで算出出来ます。SUBARUの場合、信用売残よりも信用買残の方が多いことから今後上昇すると思っている個人投資家が全体数でみても多いといえるでしょう。

しかしここで注意しなければならないのが、制度信用取引による返済期間です。制度信用取引による信用買いでは最大でも6ヶ月間しか保有することが出来ません。再び買い戻すにしろ、1度は必ず決済売りしなくてはなりません。つまり言い換えれば信用買残に載っている2,748,000株の多くは半年以内に決済売りされるということになるのです。

しかしSUBARUは東証一部上場企業で発行可能株式総数も769,175,873株(2018/11/16時点)と、とても多く1日の出来高も少ない日でも200万前後の出来高があります。信用買残にある2,748,000株は1度に決済売りされる確率は限りなく0に近いといえますし、大した影響は出ないかもしれません。しかし、投資家心理を把握する上では現状どういったポイントにあるのか常に把握しておく必要があります。自身がデイトレードで短期売買派であれば買残の増加はメリットですが、スイングトレードやポジショントレードなどの中長期売買派であれば買残の増加はデメリットであるといえるのです。

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