経済

逆イールド発生も将来の株価は明るい?その理由とは

アメリカ国債の長短金利が逆転しました。景気後退を示唆すると言われていますが以下の理由から日米共にあまり悲観視する必要は無いと考えています。では悲観視する必要が無いその理由とは?それを解説していきます。

景気後退の予兆「逆イールド」が発生!でも安心?

アメリカで10年債の利回りと2年債の利回りが逆転する逆イールド現象が起こりました。金融不安が高騰したで短期金利が長期金利を超えてしまいました。リーマンショック等の大規模な経済後退の前には逆イールドが起きていますが、過度の心配は不要だと見ています。

実際、利回りの逆転自体が景気に影響を与えるというとそうではありません。問題はそのあとに景気が後退するかどうかです。それを判断する材料にはGDPの約7割を占める個人消費の動向を見ることが欠かせません。15日に発表された7月の小売売上高は前月比0.7%の上昇で4ヵ月ぶりの高い伸び率で極めて好調だと言えます。また、小売業最大手のWalmart(ウォルマート)も通期の利益見通しを引き上げました。このことから個人消費は堅調さを保っており、景気後退の可能性は低いと見ています。

米国市場ではソフトウェア株に注目

対中関税第4弾の発動が一部12月に延期されたことによって貿易摩擦への懸念が一服しましたが、この状況は今年の6月から7月に掛けての状況と重なります。当時最も上昇したのは下記表にある通りITでした。そして今回もITが優位です。ただ、景気への懸念が強く燻っていることを踏まえると、ITの中でも特に継続課金が中心のビジネスモデルで景気体制が強いソフトウェア関連の株が今後先行してくると見ています。


業種上昇率
上昇率第1位情報技術(IT)17.2%
上昇率第2位情報通信13%
上昇率第3位一般消費財12.6%
上昇率第4位金融9.8%

現在のマーケットは少し弱気過ぎるという印象を持っています。過去の長短金利の逆転やリーマンショックを思い出させる要因の傾向が少し出てきてはいますが、上記の様に内需も固く、他に懸念材料が見当たらないことを踏まえると悲観視しすぎていると思っています。

中国当局が意図的に景気を悪化させた?

15日に中国国家統計局が発表した2019年7月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、前月比で上昇した年は6月より3少ない60でした。ここへきて中国の経済指標が悪化してきていますが、これもあまり悲観しなくてもいいと思っています。

ある種、今回の中国の経済指標の低下は中国当局が仕掛けた意図的なものという見方も出来ます。中国の一部の都市では所得に対して高すぎる価格や需給の問題、更には投機目的の問題もあったと思います。また金融システムを安定化させるためにある程度の意図的な関与があったかもしれません。(不動産価格を減速させる狙い)

ヨーロッパ諸国は中国に依存している為、中国には頼って様々な政策をとにかく打って欲しいと思っていると思いますが、中国自体の成長を考えてやらないと過剰債務を増やす要因になってしまうと思います。

いま中国は市場全体に効果があるものを打つよりかはピンポイントに景気対策を講じているように感じます。(減税や中小企業対策とかに焦点を置いている)

逆イールドは世界各国で起きている

話を戻しますが、長短金利の逆転現象は世界各国で起きていることです。アメリカだけが逆イールドになっていてそれが話題を呼んでいますが、これはその国々における金融市場からの一種の警告だと思われます。

例えば米中の貿易摩擦戦争が無かったり、ブレクジットが無かったりという政治的混乱が無ければアメリカの世界経済は潜在成長率位で維持が出来たと思います。各国が余計なことをして、それが絡んで事態が悪化してしまった。という印象があります。

各主要国の政治的な課題

アメリカ 覇権争い
中国
ドイツ 不安定な政権
イタリア
イギリス ブレクジット
フランス 支持率の低迷

ドイツやイタリアでは不安定な政権が出てきました。上記の様に政権内部の問題もあります。フランスのエマニュエル・マクロン大統領はフランス政策には成功していますが国内の支持率は低迷してきています。自国の政治ばかり目を向けていないで金融市場(景気や経済)にも目を向けて欲しいという暗示の様な気もします。

ただ自国の景気や経済に余裕があったからこそそれ以外のことにも力を注げた可能性もあるので、マクロン大統領やその他諸国の政権が悪いという訳ではありませんが、金融市場にもう1度意識を戻して欲しいというメッセージにも取れます。

少し良い兆しが出てきた?

こうしてみると世界各国はいま散らばってしまっている印象を受けますが、アメリカが先日発表したのが中国の関税引き上げの一部延期です。これはこれまでの対応とは1つだけ違う点がありました。それはナバロ補佐官が言うには中国に対して譲歩したわけでは無く、アメリカ経済のことを考えた上で関税引き上げを延期したと言うのです。

これはつまり、関税を上げすぎているアメリカが、これ以上関税を引き上げるのはアメリカにとってもマイナスにあったという意識を持ったのか若しくは、関税の引き上げは政権にとって見ても副作用があるのかということをよく理解したかもしれません。

ドイツが鍵か

今回の景気悪化の震源地はドイツにあります。しかしドイツは財政余力が結構ある国です。危機後に若干上昇しましたが、GDPで見ると80%位から60%位まで落ちてきている財政黒字の国です。

今回、景気悪化の要因がドイツにあることからも今後これ以上状況が悪化となればドイツが財政を出す可能性は高いと見ています。そうなれば景気に意識が傾くのではないでしょうか。

短期的な政策というのはどこも実行できると思いますが、国としての長期的な景気経済を考えると何でもかんでも実行するのは駄作に終わってしまう可能性が高いと思えます。と言うのも、公的債務<GDP比>チャートを見ても分かる通り潜在成長率というのは1度落ちたら中々上昇しない様に思います。こうした状況下で短期の政策を打ち続けると四方八方にお金が流出してしまい最終的に溜まった膿を排出するかのように大きな問題が発生してしまいます。

ですから根本的な部分での改革が必要課題になってくる気がします。潜在成長率というのは各国によって上げ方が当然違います。中国であれば過剰債務問題を解決することですし、ヨーロッパでは労働市場の改革が必要です。(ヨーロッパの失業率はだいぶ低下してきましたが、各国の失業率と比較すると依然高い水準にある)

各国がいまバラバラになっている今回の様な状況だからこそ、自国の為に必要とされる課題を解決することが長期目線で見た時に有利になってくることじゃないかと思っています。

株式市場の反転を見極める4つの節目

乱高下が続く日米市場ですが、アメリカ市場の景気を占う重要な節目が今後4段階予定されています。

1.景況感の判断

9月1週目に発表されるISM製造業景気指数と雇用統計が大きな節目になるでしょう。今回は対中関税第4弾についての言及分を含んだ集計結果の為、より一層注目度の高い指標になるでしょう。

2.金融政策

来週開かれるFOMC議事要旨とパウエル議長の議会講演に注目が集まっています。市場は足元の環境を踏まえてハト派色を強めることが期待されます。

3.米中通商交渉

ファーウェイへの禁輸措置の一部制限が19日迄です。これが延長されるかどうかがアメリカの態度を測る上で1つのポイントになりそうです。また対中関税第4弾の発動日に掛かる9月1日の前後も米中双方から動きが出る可能性がありそうです。

4.需給

アメリカでは19日がSQです。SQ日では指数の先物オプションの最終取引日になることから投資家のポジション整理が進みます。それまでの先物主導の荒い値動きが起こり難くなることが利点で期待されています。また9月2日はLabor Day(労働者の日・祝日)でこの日を境に市場参加者が夏季休暇から戻って売買代金が増加するのではないかと見ています。

これらの節目を無事に超えられれば、8月4週目から9月1週目に掛けてが相場反転のタイミングになると見られています。

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