経済

MBOは株価にどう影響する?

2019年1月21日にLIXILグループ<5938.T>がMBOすると一部報道があり株価が急騰しました。その後同社は「取締役会でMBOについて検討および決議を行った事実は一切ない」とコメントを発表しました。しかしMBOを材料に株価が上昇したことは事実です。そこでMBOについてまとめてみました。

一種のM&A

MBOは、Management Buyoutの略で経営陣の買収を意味しています。独立した経営権を獲得すべく会社経営陣が株主から自社株を譲与されたり、銀行などから資金調達を行い自社株を買収することです。

株式市場から退くことになる為、中長期で見ると資金調達に苦しくなる一方で被買収リスクを回避し、短期的な投機売買に左右されることなく自由度の高い経営戦略が将来的に可能になることや投資家を意識した短期的な収益戦略を必要としなくなるなどのメリットも多く、1990年代後半より活発に行われるようになりました。

活発に行われる様になった背景には90年代の景気後退に加え、企業の事業構造再編の手段として広く周知されたことが原因です。手を広げ過ぎた事業の割には収益性が悪化するなどしたことを受けて関連事業を整理し、資金効率を向上させる目的で事業整理を行い長期に及ぶ視野で改革が行えるMBOが経営者らに注目されたとの見方が濃厚です。

株価への影響

過去にMBOを行った企業を調べることは出来ますが株式市場から退いた企業の株価を見ることは出来ません。そこでMBOに似たTOBで検証すれば株価は上昇する可能性が高いと見ていいでしょう。

TOBとは

株式公開買い付けのことでTake Over Bidと言います。自社にとって脅威となるあるいは自社の傘下に置くことで自社の力になる他企業の株式を不特定多数の株主から買い集めることで買収を行います。

買収期間や価格、株数などを公告して投資家から株式を募ります。この時に公告する株価は現在の価格よりも高いです。TOB価格よりも低い値段で買うことで確実に利益を出すことが出来ることから買い注文が殺到します。

△2018年11/01にTOBを発表し、11/02に株価は大きく上昇。現価格4,190円(2019年1月21日時点)

アスパラントグループSPC5号は金属メッキ加工のFCM<5758>をTOBで子会社化すると2018年11月1日に発表しました。2回に渡って買付を行う。1回目は1株あたり3,050円で行いFCMの親会社である古河電工は保有株を全て売却することに同意。

△親会社である古河電工の株価に影響はあまり見られない。<2018年11月1日~2019年1月21日>

そして第2回TOBの買付価格は1株あたり4200円と発表。FCMは直近株価で一時3,345円まで落ち込んでいたがTOBによって株価は大きく上昇したことが分かります。つまりはMBOでも株価は大きく上昇することが予想される為、LIXILグループの株価も上昇したのでしょう。

TOBとMBOの違い

TOBは株式市場に流通している株式を株主から大量に買い付けることで対象企業を自社の傘下に入れることです。一方でMBOは経営陣(自分の会社)が公開買い付けすることで上場廃止にすることです。

TOBは自社にとって脅威となる企業を買収するわけですが、MBOは敵対的買収への対抗手段としても講じられます。似た意味にも聞こえますが両者の違いは歴然です。他にも従業員が株式を譲受するものをEBO(Employee Buyout)、経営陣と従業員が合同で株式を譲受することをMEBO(Management and Employee Buyout)等もあります。

MBOのメリット

  • 経営陣の自社株占有率が増加することで株主の目を気にした経営を行う必要がなく、より柔軟かつ自由度の高い経営戦略が可能になること。
  • 上場を廃止することでこれまで公開していたIRをはじめとする企業業績に関する様々な情報を開示する義務が無くなること。
  • 事業整理することで発生する売却資金を本業への資金へ充てることが出来ること。

MBOのデメリット

  • 株式市場からの資金調達手段が遮断されることで資金調達策が少なること。
  • 株式市場から撤退することで知名度や信用度が下落する可能性があること。(投資や経済に関心が薄い場合、株式市場からの撤退を倒産と誤解する場合が考えられる)
  • 上場廃止することで第三者(株主、投資家)から監視されなくなることで経営に対する油断が生まれる可能性があること。

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