最新版!景気動向指数とは
実は毎月発表されている「景気動向」
内閣府が毎月作成し公表しているのが景気動向指数です。読んで字の如く景気具合を数値化しているもので、経営や投資において参考になる指標の1つです。何となく「景気のことを言っているんだな。」と思っていた方はしっかりと理解を深めることで自身の仕事や投資に良い影響を与えましょう。
景気動向指数の計算方法
3分野29種類から6つの指数を算出し、その6つの指数を基に景気動向指数を計算しています。ひと口に「景気」と言っても企業ごとの売上や給与、失業率に加え日本株価指数など実に多くの視点から判断しなければなりません。その為に29種類もの指数から算出しています。
各分野の解説
景気経済に対してどう指数が動くのかを基準に考えます。景気経済よりも遅く指数が動くものは遅行指数と言われます。この逆で景気経済よりも早く指数が動くものを先行指数、そして景気経済と一緒に動く指数を一致指数と呼びます。更に、遅行指数・一致指数・先行指数それぞれにCI(コンポジット・インデックス)とDI(ディフュージョン・インデックス)が付けられて合計6つの指数が出来上がります。
CI(コンポジット・インデックス)
主に、景気変動の大きさや量感を測定することを目的としています。CI一致指数が上昇しているときは景気も上昇トレンドを作るが、反対にCI一致指数が下落しているときは景気の下落トレンドが形成されてしまいます。
但し、1か月ごとでの発表のため、上昇中に単月で下落する場合などを考えると移動平均線を引いてその動向で判断するのが好ましいといえます。
DI(ディフュージョン・インデックス)
景気拡張の動きの各経済部門への波及度を測定することを目的としています。DIは50%を上回ると景気拡張局面と言われ50%を下回ると景気後退局面とされています。DIは波及度を測るものなので、大幅な拡張でも小幅な拡張でも拡張系列数の割合が同じだと、同じDIが計測されてしまいます。
CIとDI両者の違い
計算方法が異なることです。CIは景気の強弱を測定するものです。たとえDIが同じ数値で計測されても各採用系列が大幅に拡張することでCIも大幅に上昇することからCIは、DIでは測りきれない景気の高さ(拡張具合)や深さ(後退具合)を計測するものです。両者にこうした特徴があるため、CI中心に見られますが波及度も併せて確認することは重要ですので、DIも一緒に発表し、見られています。
景気動向指数が採用している指数一覧
先行系列 | 1.最終需要財在庫率指数(逆サイクル) |
2.鉱工業用生産財在庫率指数(逆サイクル) | |
3.新規求人数(除学卒) | |
4.実質機械受注(製造業) | |
5.新設住宅着工床面積 | |
6.消費者態度指数 | |
7.日経商品指数(42種総合) | |
8.マネーストック(M2)(前年同月比) | |
9.東証株価指数 | |
10.投資環境指数(製造業) | |
11.中小企業売上見通しDI | |
一致系列 | 1.生産指数(鉱工業) |
2.鉱工業用生産財出荷指数 | |
3.耐久消費財出荷指数 | |
4.所定外労働時間指数(調査産業計) | |
5.投資財出荷指数(除輸送機械) | |
6.商業販売額(小売業、前年同月比) | |
7.商業販売額(卸売業、前年同月比) | |
8.営業利益(全産業) | |
9.有効求人倍率(除学卒) | |
遅行系列 | 1.第3次産業活動指数(対事業所サービス業) |
2.常用雇用指数(調査産業計、前年同月比) | |
3.実質法人企業設備投資(全産業) | |
4.家計消費支出(勤労者世帯、名目、前年同月比) | |
5.法人税収入 | |
6.完全失業率(逆) | |
7.きまって支出する給与(製造業、名目) | |
8.消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)(前年同月比) | |
9.最終需要財在庫指数 |
※「逆サイクル」は、指数の上昇・下降が景気の動きと反対になる指標です。
2017年よりも前では、一致系列に「大口電力使用量」と「中小企業出荷指数(製造業)」が含まれていましたが、生産動向との相関性が縮小したことや公表休止を背景に内閣府が発表している対照表から除外されました。そこに遅行系列の「きまって支出する給与(製造業、名目)」と「消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)(前年同月比)」、「最終需要財在庫指数」が加えられ合計29種類となりました。上記表3項目の中にそれぞれCIとDIが含まれて合計6指数となります。
株価の上昇は景気の拡大を牽引する
上記表の先行系列に、「東証株価指数」があります。株価が上昇すると景気が良くなるといわれています。上場している企業の株価が上昇すると、企業は銀行などから資金調達が容易になります。新たに資金を調達することで事業をいっそう拡大することが出来るのです。
事業を拡大することで新たな取引先が生まれ上場企業外の企業も恩恵を受けます。また傘下となる企業の売上も伸びることから全体的に給料アップにも繋がります。給料アップになると、多くの人は旅行や買い物等を楽しむようになります。
これが更に企業の売上に貢献し、業績が増加していきます。このことを資産効果と呼びます。一方で投資家も投資している会社の株価が上昇するわけなので、投資によるリターンもあれば株主優待券や配当金などで多くの収入を獲得することが出来ます。
しかし、「東証株価指数」は先行指数なので、株価が落ち込むと景気も落ち込んでしまいます。景気が落ち込むと企業は増資が困難になり経営活動が縮小されてしまいます。縮小されることで給料ダウンに繋がるだけでなく、株価の下落によって投資家の購買意欲も目減りしてしまいます。
更に給料の増減はなかなか反映されにくいのが特徴です。1度上げてしまうとなかなか下げにくいことから企業は今後景気が長期に渡ってある程度悪くなっても給料を上げることで経営が困難にならないと判断した時点で給料増加に繋がります。ですので、なかなか給料は上がっていきません。しかし景気の拡大時を狙って投資を行い、自分が保有する株価が上昇すれば給料とは別の収入を得ることが可能です。それが続くことで本業の給料も上昇し、プラスのサイクルがはじまると考えられます。